当店は着物屋です。最近、とあるお客様から御用命頂きました、絞りの浴衣が仕立て上がってきました。表の過去ブログにこの浴衣の事があります。ご興味のある方はぜひぞうぞ。今御覧になられているのは、趣味全開の裏ブログとなります。

有松絞りですが、今では馬の柄というのは少ないと思います。

着物の古典柄というのは、何かしらの意味があります。
馬を身に纏う浴衣の柄にあしらったのは、馬が日本人にとって馴染み深い動物だからでしょう。伊勢神宮とか多度大社に行くと神馬がいますので、神様の使いとか乗り物という意味がありそうです。
気になったので調べてみました。
そうすると、馬の守護神が出てきました。蒼前様(そうぜんさま)です。
岩手県の伝統行事で「チャグチャグ馬っこ」というものがありました。岩手県は南部馬の産地で、馬は農耕とは切っても切れない重要な存在でした。
チャグチャグ馬っことは、年に一度、大事な馬を守ってもらうために、馬の神様に祈願するお祭りです。その神様が蒼前様です。
蒼前様は主に東北から北関東地方で祀られており、蒼前とは「葦毛の白馬」のことです。葦毛馬は年を重ねる毎に白くなり、8歳で白馬になると霊威が生じると考えられたようです。

日本の神様の出自を調べると、古事記や日本書紀に出てくる神、出てこないその地域独特の神、元人間が何らかの理由で死後神として祀られる。などに分類できます。
しかし、蒼前様の場合は違っていました。
古来より、馬は神聖な神様の乗り物であり、その中でも白馬は霊獣という意味もありました。また、農耕や運搬には欠かせない存在であり、家族同然の存在でもありました。
故に、人と密接な関係にあった馬、霊獣という意味もある馬は、死後蒼前様として祀られたそうです。馬を守る神とは、人が大切に育てた馬だったのです。
調べている内、興味深い記述が出てきました。それは地域によっては、津島神社の神人(神社で仕える人)が蒼前様の御札を配り歩いていたというものです。津島神社と言えばあの荒ぶる神、牛頭天王様の神社です。馬の神と牛頭天王様が習合したのか、それとも神の馬とは牛頭天王様の御眷属であるという意味があるのか。いずれにせよ牛頭天王様はやはり昔は庶民の神様だったというのが良く分かるエピソードです。
飼っていた馬を死後神として祀る。それは馬が当時の人々にとって大切な存在だったということ。あるいは、馬を酷使して死んでしまったので、申し訳ないという後ろめたさ、もしくは馬が祟ったら怖いと思っていたのかもしれません。

そんな馬の柄を浴衣にしたのがこちらです。絞りなので当然柄が白く出ます。白い馬は神馬なので絞りにピッタリです。柄の出自は特定は出来ませんが辿るとやはり関東より北なのかなと思いました。
昔からある柄、文様はやはり何か意味がありますね。勉強になりました。
参考文献 新紀元社 日本の神々 多彩な民族神たち 戸部民夫著
紅葉屋呉服店はこちらまで

有松絞りですが、今では馬の柄というのは少ないと思います。

着物の古典柄というのは、何かしらの意味があります。
馬を身に纏う浴衣の柄にあしらったのは、馬が日本人にとって馴染み深い動物だからでしょう。伊勢神宮とか多度大社に行くと神馬がいますので、神様の使いとか乗り物という意味がありそうです。
気になったので調べてみました。
そうすると、馬の守護神が出てきました。蒼前様(そうぜんさま)です。
岩手県の伝統行事で「チャグチャグ馬っこ」というものがありました。岩手県は南部馬の産地で、馬は農耕とは切っても切れない重要な存在でした。
チャグチャグ馬っことは、年に一度、大事な馬を守ってもらうために、馬の神様に祈願するお祭りです。その神様が蒼前様です。
蒼前様は主に東北から北関東地方で祀られており、蒼前とは「葦毛の白馬」のことです。葦毛馬は年を重ねる毎に白くなり、8歳で白馬になると霊威が生じると考えられたようです。

日本の神様の出自を調べると、古事記や日本書紀に出てくる神、出てこないその地域独特の神、元人間が何らかの理由で死後神として祀られる。などに分類できます。
しかし、蒼前様の場合は違っていました。
古来より、馬は神聖な神様の乗り物であり、その中でも白馬は霊獣という意味もありました。また、農耕や運搬には欠かせない存在であり、家族同然の存在でもありました。
故に、人と密接な関係にあった馬、霊獣という意味もある馬は、死後蒼前様として祀られたそうです。馬を守る神とは、人が大切に育てた馬だったのです。
調べている内、興味深い記述が出てきました。それは地域によっては、津島神社の神人(神社で仕える人)が蒼前様の御札を配り歩いていたというものです。津島神社と言えばあの荒ぶる神、牛頭天王様の神社です。馬の神と牛頭天王様が習合したのか、それとも神の馬とは牛頭天王様の御眷属であるという意味があるのか。いずれにせよ牛頭天王様はやはり昔は庶民の神様だったというのが良く分かるエピソードです。
飼っていた馬を死後神として祀る。それは馬が当時の人々にとって大切な存在だったということ。あるいは、馬を酷使して死んでしまったので、申し訳ないという後ろめたさ、もしくは馬が祟ったら怖いと思っていたのかもしれません。

そんな馬の柄を浴衣にしたのがこちらです。絞りなので当然柄が白く出ます。白い馬は神馬なので絞りにピッタリです。柄の出自は特定は出来ませんが辿るとやはり関東より北なのかなと思いました。
昔からある柄、文様はやはり何か意味がありますね。勉強になりました。
参考文献 新紀元社 日本の神々 多彩な民族神たち 戸部民夫著
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