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主に寺社参拝を通しての気付・思ったことのお話

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紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾

Author:紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾
名古屋市内で呉服中心で古美術も扱っているお店をやっています。

主に趣味のお寺と神社の参拝を中心としたブログです。

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◆考察・「天神山町」 最終回  ~天神山の謎~

天神山中学の名前の由来になった天神社の神様は菅原道真公ではなく、武塔天神、即ち牛頭天王だったと思う。

天神様は、町内にぽつんとある祠で祀られる神様ではない。

小さな祠で祀られる時は別のちゃんとした神社の境内の一角に祀られる。

西区富士浅間社・末社②
(富士浅間社の天神社)

例えば前々回紹介した西区浅間町の富士浅間神社には、御祭神の木花咲耶姫以外にも稲荷神を始めとした複数の神々が祭られている。

西区富士浅間社・末社①

この祠は全部で六柱の神々が祀られている。神明社、八幡社、津島社などだ。

一つの祠で纏めて祀られているのに対し、天神様は単体で祀られている。やはり怨霊神であったことが関係しているのだろう。

現在確認できる天神社、天満宮はちゃんとした敷地で主祭神で祀られるか、祠形式の場合は他の神社の境内にきちんと祀られるのが天神様の特徴だ。


町内の一角にぽつんとあるような祀り方はしないのだ。


天神山中学の学区内には八坂神社という嘗ては牛頭天王を祀っていた神社が、今尚遺っていたりもする。そんな事例を踏まえて考えると、やはり天神山町の町名の由来は、天神様ではなく武塔天神(牛頭天王)だったと思う。


おそらく天神山中学創立の際、当時の社の表記には「天神社」としか書かれていなかったので、天神様だと解釈されたのだろう。


牛頭天王が天神様へと変わった背景には、明治政府の政策が関与しているかもしれない。明治政府は国家宗教を神道と決めたので、数多くのお寺や仏像が壊されたり、捨てられたりした。それと同時に神社の御祭神も記紀神話に登場するる神々に置き換えられた。


牛頭天王は仏教でもなく神道でもない、陰陽道に登場する神様だ。民間人に身近な神様だったが、この牛頭天王も、陰陽道ごと明治政府に壊され葬られてしまった。


天神山にあった天王社もこういった経緯で御祭神が入れ替わったのではと思う。


亀尾天王社を丁重に祀った徳川家や、庶民の屋根神様、牛頭天王が名古屋城下に多々祀られていたのは、陰陽道がかなり名古屋城下町に浸透していたことを物語っている。


学研「陰陽道の本」によれば、平安~鎌倉時代にかけて時の権力者に重宝された陰陽道であるが、だんだんと武家社会になるにつれ陰陽道は凋落していく。しかし江戸時代、天下をとった徳川家康は陰陽道を復活させたとあった。


私の住む土地は名古屋城下の町だが、古くは押切村と呼ばれていた。私はその押切村に陰陽師の住む一角があったと睨んでいる。

 
私の家には安倍晴明所縁の亀塚が遺っていたり、嘗ての押切村のとある場所には※申ヶ辻の建物があったりするからだ。また名古屋市やその隣のあま市には安倍晴明が蛇や草を封じたとの伝説が残るものもある。


亀塚3
(安倍晴明伝説が遺る「亀塚」)


名古屋市の歴史愛好家の中で、最大の謎と言われるのが押切村であると聞いたことがある。名古屋の城下町に関わらず、尾張藩が1800年代に作成した地図には白紙状態であったり、資料の類がほとんどないからだ。


これは押切に陰陽師の住む一角があったとすれば、あえて語らずだったと思える。


名古屋城下に陰陽師達の集落があれば、民間に陰陽道が流れていてもおかしくない。故に名古屋城下には牛頭天王が多いのだ。


以上、天神山の由来は天神様ではなく、牛頭天王の社がかつてあったと結論付けたが、唯一天神山の「山」の字が残った。しかし、これが天神社を菅原道真公と解釈したのならば説明はつく。



菅原道真公は九州の大宰府に流された後、天拝山に上り天上の神に祈りを捧げ天満自在天になったという伝説がある。その伝説にある、天拝山の「山」が天神山の「山」だと私は解釈した。



最初の疑問は天神山中学の学校名の由来はなんだろう?という素朴な疑問だったが、本人も思わなかった話がゴロゴロ出て来た。名古屋の歴史、徳川家康公、陰陽道と牛頭天王などなどもっと調べたいことが次々現れた。また天神様のことも知っているようで知らないことが沢山あった。


これから天神様に関する歴史や、名古屋城下に残る陰陽道の痕跡を調べたいと思います。



おしまい



※申ヶ辻の建物
家や囲いの一部分の申の方位(南西)の角を、あえて凹ませて作ること。魔除けになるとされた。陰陽道の発想です。
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