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主に寺社参拝を通しての気付・思ったことのお話

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紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾

Author:紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾
名古屋市内で呉服中心で古美術も扱っているお店をやっています。

主に趣味のお寺と神社の参拝を中心としたブログです。

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◆「道成寺 其の参」

道成寺はその歴史、仏像、建物、どれを見ても魅力的だが、やはりこれを外してはならないものが「安珍と清姫」の伝説だろう。

能や歌舞伎で何度も舞台化している有名な昔話だ。道成寺では宝物館でこの物語の絵解きをしている。
昔は、お寺で絵解き(絵巻物を拡げながら解説すること)をすることは珍しくないことだったが、今では道成寺位しかやってないそうだ。

この「安珍と清姫」の昔話、今風に言えば女性からのストーカー被害に遭い、命を落としてしまった男の話である。
お寺のホームページにも分かり易く紹介してあるが、簡単に順序立てて紹介してみよう。

1 延長6年(928年)、紀伊国、真砂という所に清次の庄司という庄屋さんがいた。
 ある時、そこへ旅の修行僧、安珍を泊めることになった。


2 庄屋の娘、清姫は安珍を好きになってしまう。「ゆっくりして行って下さい」と滞在を促す清姫。
 修行中の身と断っていた安珍、清姫の説得に折れ、熊野詣の帰りにまた寄りますと約束。
 二人は和歌を交す。


3 安珍が旅立って、約束の日が来たが安珍は戻らない。


4 心配になって旅人に安珍のことを聞くと、もうとっくに行ってしまったとのこと。ブチ切れる清姫。


5 乱れる衣服も気にせず60キロも追う清姫。すれ違う人達もその姿に恐れおののく。


6 清姫の追跡は切目五体王子という神社で、ついに安珍を捉える。


7 何故帰りに寄らないのかと問う清姫に、「人違いです」と火に油を注ぐ安珍。清姫更にブチ切れる。


8 恐れをなした安珍。金剛童子に助けを求める。
 金剛童子の名号を唱えると、清姫、目が眩み動けなくなる。その隙に逃げる安珍。
 清姫の怒りは頂点に達し、あまりの怒り故、その姿が変化し始める。


9 安珍は日高川に出ると、そこから舟で向う岸へ。清姫も船頭に船を出せと言うも、船頭は断る。
 どうも安珍からお金をもらっているらしい。清姫、服を脱ぐと川へ。やがて大蛇の姿に。


10 川を渡り、道成寺へと逃げ込む安珍。道成寺の僧侶達、「鐘の中に隠れよ」と安珍を隠す。
  そこへやって来た大蛇の清姫。境内を捜索し、ついに鐘の下に隠れていることを突き止める。


11 鐘を三巻半、蛇体を巻きつける清姫。鐘ごと安珍を燃やしてしまう。
  あわれ安珍は焼死。我に返った清姫も絶望し、海に飛び込んで死んでしまう。


12 安珍を葬って、幾晩か経ったある日、道成寺の和尚の夢に、二匹の蛇が現れる。
  蛇道に堕ちて苦しんでいるとのこと。和尚は法華経を写経し、安珍と清姫を
  千手観音の御宝前で盛大に供養することに。


13 供養を行った翌晩、またもや和尚は不思議な夢を見る。
  今度は二人の天人が現れ、立派に成仏出来たと伝える。


と云うものです。

道成寺に纏わる「安珍清姫物語」は昔から知ってはいたが、創作だと思っていた。
しかし、寺に訪れたことで判明したが、安珍と清姫の墓が何と残っていたのである。

道成寺14

境内にあった「安珍塚」は安珍を葬り、安珍が隠れた鐘も埋めたとされる場所。
そして怒りのあまり大蛇と化した清姫が燃やしたと云われる鐘楼 跡も残っていた。

道成寺16


道成寺15

初代の鐘は清姫が燃やし埋められた。
南北朝時代に造られた二代目の鐘は、豊臣秀吉が戦利品として没収していったらしい。
現在もその鐘は京都に残っていると云う。

そう、有名な道成寺の鐘は道成寺に無いのである。

それにしても安珍と清姫の物語は考え出すと面白い。次回はもう少し突っ込んで考えてみます。


続く~
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