和歌山県で最も古い寺と言われる「道成寺」にお参りに出かけた。
国宝と重要文化財の千手観音を祀る天台宗の古刹である。

お寺に来て、最初に目に飛び込んで来る山門を見ると、わくわくする。
道成寺も立派な山門が迎えてくれた。
道成寺には七不思議と呼ばれるものがある。
その中の一つがこの山門の画像に因んだものだ。

確かに逆八の字というのは珍しいかも知れない。
階段を登りきると本堂が見えた。

建物は約650年前の堂々たる本堂だった。重要文化財に指定されている。
本堂の中には、同じく重要文化財指定の奈良時代の千手観音が祀られていた。
細身の千手観音像だった。像高さは2.4メートルとのこと。
この本堂の北側(本尊の真裏)にはもう一体の千手観音像が祀られている。
こちらは秘仏で、次回の御開帳は2038年とのこと。

現在拝観出来る奈良時代の本尊は修復された姿である。元々はバラバラの状態であった。
そのバラバラ状態の千手観音は、この秘仏の千手観音の像内から発見されたと言う。
お寺で購入した図録によれば、修復された千手観音は霊木で彫られた可能性があるとあった。
なるほどである。
本堂向かって右側に、三重塔がある。

こちらは県指定の重要文化財。この三重塔、道成寺の七不思議の一つでもある。

御神木で建てられた塔の、1.2階の垂木と3階の垂木の形が違うと言うのだ。
目を凝らして見てみると確かに形が違っていた。

こちらが2階部分。赤丸で囲った場所を見るとこちらは四角い。
次に3階部分に目を移す。

確かに形が違う。3階部分の方がカッコイイ。
この三重塔、お寺のHPによれば(そんな事実はないとのことだが)、不思議な民話が残っている。
それはこんな民話だ。
三重塔を再建していた棟梁さんが、二階まで組み上げて、下に降りて休憩していたそうです。
すると、一人の巡礼が通りかかり、話しかけました。
「棟梁や、扇垂木って知ってるか?もっと美しい塔にできる方法があるぞ」
棟梁は、巡礼の言う通りに三階を扇垂木にしてみると、見映えが一層良くなりました。
「ああ、一階も二階も扇垂木こうしとけば良かった。わしも素人に教わるようでは…」
と後悔して、完成後に、三階から鋭いノミを口にくわえて飛び降り自殺をしてしまいました
・・・と云うものだ。
この話、すごく良く似た話が、愛知県の岡崎市にある天台宗の古刹、「滝山寺」にも残っている。
滝山寺の場合は三重塔では無く寺の山門で、こちらも垂木の向きを老婆に指摘され、
恥じた大工がノミを咥えて門から飛び降り自害したと云うものだ。 ※詳しくはこちらまで
滝山寺の亡くなった大工は名前も残り、塚も残っていることから信憑性が高い。
滝山寺の山門は約750年前に建立、道成寺の三重塔は約250年前に建立・・・。
時代は全然違うが、双方の建物に纏わる話は似ている。
愛知県岡崎市から遠く離れた道成寺で、似たような話があるのが不思議だ。
棟梁がノミを咥えて自殺するというのはショッキングな話なので、旅人と共に伝わって行ったのだろうか?
境内には神社もあった。

何を祀っているか覗いてみたら御祭神の名前が記されていた。全部で三柱の神々だ。
向かって右から「天神さま」「弁財天」「住吉大明神」だった。
珍しい並びである。初めてお目に掛かったかもしれない。
弁財天の真言を唱えながら合掌する。
ふと横に目をやればかなり風化した狛犬と目があった。

対であるべき狛犬が、一体しかない。
相方は壊れてしまったのだろうか?
永い年月をじっと座って守って来た狛犬だ。もし狛犬の言葉が聴けるとしたら、狛犬は何と言う言葉を発するだろうか?
表面が剥がれボロボロになっているのを見るに、直してもらえるといいなと思った。
◆「道成寺 其の弐」へ続く~
国宝と重要文化財の千手観音を祀る天台宗の古刹である。

お寺に来て、最初に目に飛び込んで来る山門を見ると、わくわくする。
道成寺も立派な山門が迎えてくれた。
道成寺には七不思議と呼ばれるものがある。
その中の一つがこの山門の画像に因んだものだ。

確かに逆八の字というのは珍しいかも知れない。
階段を登りきると本堂が見えた。

建物は約650年前の堂々たる本堂だった。重要文化財に指定されている。
本堂の中には、同じく重要文化財指定の奈良時代の千手観音が祀られていた。
細身の千手観音像だった。像高さは2.4メートルとのこと。
この本堂の北側(本尊の真裏)にはもう一体の千手観音像が祀られている。
こちらは秘仏で、次回の御開帳は2038年とのこと。

現在拝観出来る奈良時代の本尊は修復された姿である。元々はバラバラの状態であった。
そのバラバラ状態の千手観音は、この秘仏の千手観音の像内から発見されたと言う。
お寺で購入した図録によれば、修復された千手観音は霊木で彫られた可能性があるとあった。
なるほどである。
本堂向かって右側に、三重塔がある。

こちらは県指定の重要文化財。この三重塔、道成寺の七不思議の一つでもある。

御神木で建てられた塔の、1.2階の垂木と3階の垂木の形が違うと言うのだ。
目を凝らして見てみると確かに形が違っていた。

こちらが2階部分。赤丸で囲った場所を見るとこちらは四角い。
次に3階部分に目を移す。

確かに形が違う。3階部分の方がカッコイイ。
この三重塔、お寺のHPによれば(そんな事実はないとのことだが)、不思議な民話が残っている。
それはこんな民話だ。
三重塔を再建していた棟梁さんが、二階まで組み上げて、下に降りて休憩していたそうです。
すると、一人の巡礼が通りかかり、話しかけました。
「棟梁や、扇垂木って知ってるか?もっと美しい塔にできる方法があるぞ」
棟梁は、巡礼の言う通りに三階を扇垂木にしてみると、見映えが一層良くなりました。
「ああ、一階も二階も扇垂木こうしとけば良かった。わしも素人に教わるようでは…」
と後悔して、完成後に、三階から鋭いノミを口にくわえて飛び降り自殺をしてしまいました
・・・と云うものだ。
この話、すごく良く似た話が、愛知県の岡崎市にある天台宗の古刹、「滝山寺」にも残っている。
滝山寺の場合は三重塔では無く寺の山門で、こちらも垂木の向きを老婆に指摘され、
恥じた大工がノミを咥えて門から飛び降り自害したと云うものだ。 ※詳しくはこちらまで
滝山寺の亡くなった大工は名前も残り、塚も残っていることから信憑性が高い。
滝山寺の山門は約750年前に建立、道成寺の三重塔は約250年前に建立・・・。
時代は全然違うが、双方の建物に纏わる話は似ている。
愛知県岡崎市から遠く離れた道成寺で、似たような話があるのが不思議だ。
棟梁がノミを咥えて自殺するというのはショッキングな話なので、旅人と共に伝わって行ったのだろうか?
境内には神社もあった。

何を祀っているか覗いてみたら御祭神の名前が記されていた。全部で三柱の神々だ。
向かって右から「天神さま」「弁財天」「住吉大明神」だった。
珍しい並びである。初めてお目に掛かったかもしれない。
弁財天の真言を唱えながら合掌する。
ふと横に目をやればかなり風化した狛犬と目があった。

対であるべき狛犬が、一体しかない。
相方は壊れてしまったのだろうか?
永い年月をじっと座って守って来た狛犬だ。もし狛犬の言葉が聴けるとしたら、狛犬は何と言う言葉を発するだろうか?
表面が剥がれボロボロになっているのを見るに、直してもらえるといいなと思った。
◆「道成寺 其の弐」へ続く~
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