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2010-08-06

紅葉の話 最終回

~続き

こうして「紅葉狩」の物語を振り返ってみたが、
結局、大元の「紅葉屋」の屋号を決めた創業者が、
何故、紅葉の名前をつけたのかは分からないままだ。

自分が思うに、才女であった紅葉は、最初「呉葉」といった。
今でこそ着物と言うが、昔は「呉服」が一般的だった。

呉服屋の紅葉屋は、同じ「呉」という字が共通することにヒントを得たかもしれない。
呉服は女性相手の商売なので、商売繁盛に紅葉の力にあやかったのかも…。

それとも、創業者あるいはその先祖が戸隠の産まれなのか。
謎は謎のまま終わるのもいいかもしれない。

長くなった「紅葉の話」。最後に愛知県尾張旭市にある御庭の話をする。

その庭がある施設は満天星亭という江戸時代の旧家を利用した施設だ。
見応えのある庭は、謡曲の「紅葉狩」をテーマに造られている。

御茶会で何度か行ったことがあるが、ある時、気付いたことがあった。
「紅葉狩」をテーマにしているのに、肝心の紅葉が異様に少ないのだ。
秋の紅葉の色は殆どが満天星(どうだん)なのである。

これは、紅葉が天文学にも精通していたことを意味し、わざと満天星を中心にしたのだろう。
そして、殺された紅葉をイメージする、紅葉の木をあえて入れなかったのだと思う。

この庭は古く、屋敷の一角には社があったような跡もあった。
多分、戸隠神社の分社があったのだろう。

一度秋の時期の茶会に招かれて、この満天星亭に行った。
あの血のような鮮烈な赤が、今も脳裏に焼き付いている。


おしまい。





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2010-08-02

紅葉の話 その11

~続き

今回のテーマも終盤に差し掛かってきた。

ここで「紅葉狩」をもみじ目線で再構成してみる。

■再構成した「紅葉狩」

都にいた紅葉はその中の争いに巻き込まれ、戸隠に流刑になる。

打ちひしがれた紅葉であったが、辿りついた水無瀬の地では、
村の人達は暖かく紅葉を迎えた。それは村人たちもまた、虐げられた人々故、
似たような境遇の紅葉に理解を示したのだろう。

紅葉は様々な才能を持つ有能な女性であった。
医学、天文学、軍学、都の文化などを伝えていく。

ある時、長年の重税をついに払えなくなった人々が不満を募らせていく。
そして紅葉をリーダーとして組織が大きくなっていく。

これを察した冷泉天皇が平維茂に命じ、軍隊を派遣。

平維茂が想像するより善戦した紅葉達であったが、最後は敗れ討たれる。
残った一児も殺されてしまう。

虐げられた民衆の為に立ちあがった紅葉であったが、
「歴史は勝った方がつくる」の通り、紅葉は逆賊として「鬼女」となってしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とこんな話を考えてみた。どうしても紅葉側で観てしまう。

最後に気になったのが、紅葉討伐を命じたのが「天皇」であるという点だ。

これは調べる内、「」という話が出てきたが、衝撃的な内容だったので
ここでは伏せることにします。


もう少し続く~



プロフィール

紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾

Author:紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾
名古屋市内で呉服中心で古美術も扱っているお店をやっています。

主に趣味のお寺と神社の参拝を中心としたブログです。

◆紅葉屋呉服店
momijiyagohukuten.com

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