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2010-06-27

浦島太郎の話

とある方の許可を得て、珍しいものの写真を撮らせて頂いた。
ものは古いきれを用いた財布で、その金具が江戸期の目貫を使用してあった。

その目貫が大変珍しいものだった。その方の意見と一致したが、
玉手箱を持っている人物や、その前に座っている人物の姿からこれだと思った。

昔話で御馴染の「浦島太郎」の目貫なのだ。その目貫の人物構成が奇妙だった。
題材は物語の丁度後半部分、浦島太郎が竜宮の王様から玉手箱を貰う場面である。

浦島

三人の人物が見てとれる。向かって右から

浦島太郎、竜宮の王様、そして写真だと分かりにくいかもしれないが、恵比寿さまだ。

浦島太郎の話には恵比寿様は出てこない。目貫から読み取れる情報から推測してみた。

・玉手箱を貰う際、何と二択だった。
・玉手箱以外の選択肢には「桃」があった。
・恵比寿が竜王を止めようとしているようだ。
・玉手箱を渡すのが姫ではない。

浦島太郎について興味が出て来たので少し調べてみたが、昔は「浦 嶋子」だった。
また、丹後の方では、浦 嶋子は何と神として祀らている事が判明した
(浦島神社がある)

本格的に調べてみないと何とも言えないが、恵比寿が登場することや、
桃と二択になる話はないように思う。

この目貫、貴重な伝説が背景に隠れた、新発見の目貫かもしれない。

浦島太郎については、資料が少なすぎるがいつか調べてみたい。





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2010-06-26

白州正子さんの話 その3

~続く

商品を取りに行ったら、そこには白州正子さんがいた。
父が抑えた古代ガラスを熱心に見入っていたそうだ。

先にガラスを抑えた人物が父だと知った正子さんは、

「なんだ、鬼の子か…

と言ったそうだ。

どうも売約済みとなってしまった古代ガラスの内、2,3点が気にっていたようだった。

「これとこれを分けてくれんかね。金で加工して指輪を作りたい」

と正子さんは言ったが、それは特に美しいガラスだったので、
父は返答に困ったそうだ。

が、結局それを譲ることにした。

後日、白州正子さんから荷物が届いた。
中にはお礼の手紙と江戸時代の金襴の古裂財布が入っていた。

金襴財布

流石にやることが粋だよなぁと思った。

父は今でも古代ガラス(ネックレス状に組んである)をこの財布に入れ大切にしている。


おしまい。



2010-06-25

白州正子さんの話 その2

~続き

今から40数年前の話。

名古屋市内に、K堂という骨董屋さんがある。
K堂さんは、大変な目利きで、陶芸家の加藤唐九朗氏や
荒川豊蔵氏もお客さんとして来店していたお店だ。

ある日、K堂を訪れた父は、カウンターに座った一人の女性に声をかけられた。

「兄ちゃんなら、どれを選ぶ?」

カウンターの上に目をやると、古い信楽や備前といった壺が数点並んでいた。
父は、それらを観て、「これがいい」と指差した。

女性は、何故それを選んだかを尋ねたので、明確に答えた。

何か感じるものがあったのか、女性は父に向って

「あんた鬼だねぇ…」

と言ったそうだ。それが白州正子さんとの出会いだった。

どうも名古屋に来る折には、よくK堂に立ち寄り、買い物をしていたようだった。


それから時が過ぎたある日、父はK堂で古墳時代のガラスを何点か購入した。
見つけた時には手持ちがなかったので、商品は後日取りに行くことになった。


続く~



2010-06-24

白州正子さんの話 その1

先月だったか、名古屋の高島屋で企画展があったので観に行った。

「白州次郎と正子の世界展」というものだ。
※副題 ~「風の男」と「韋駄天夫人」の物語~

この夫婦がどういう夫婦だったのかは調べてもらうとして、
今回からは白州正子さんと父とのちょっとした話を紹介する。

白州正子さんという方は、相当な目利きであったようだ。
会場にも、所持していた骨董品が何点か展示してあったが、
種類を問わず、共通しているものがあった。

壺にしろ皿にしろ裂にしろ、全てが「鋭い」のだ。
それは「怖さ」にも通じ、日本刀のような迫力があった。
すべてが真剣勝負なのだ。

そんな展示品の中で、(図録には未収録)古墳時代のガラスを指輪に加工したものがあった。
3㎝×1㎝くらいの深い、綺麗な緑色の美しいガラスだった。

「こうやって宝石にして楽しめるのか」と感心したのを覚えている。

帰宅してから、父と話をしていた時、「指輪があったか?」と問われた。
知ってるのか?と尋ねたら、

「あれは、昔、自分が正子さんに分けたものだよ」

という意外な返事が返ってきた

どうも、まだ父が若かった頃、何度か白州正子さんと会ったらしい。

身内の意外な過去に興味津津で聞いてみた。


続く~

プロフィール

紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾

Author:紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾
名古屋市内で呉服中心で古美術も扱っているお店をやっています。

主に趣味のお寺と神社の参拝を中心としたブログです。

◆紅葉屋呉服店
momijiyagohukuten.com

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