2022-07-06
◆浴衣の柄を考察しました。
当店は着物屋です。最近、とあるお客様から御用命頂きました、絞りの浴衣が仕立て上がってきました。表の過去ブログにこの浴衣の事があります。ご興味のある方はぜひぞうぞ。今御覧になられているのは、趣味全開の裏ブログとなります。

有松絞りですが、今では馬の柄というのは少ないと思います。

着物の古典柄というのは、何かしらの意味があります。
馬を身に纏う浴衣の柄にあしらったのは、馬が日本人にとって馴染み深い動物だからでしょう。伊勢神宮とか多度大社に行くと神馬がいますので、神様の使いとか乗り物という意味がありそうです。
気になったので調べてみました。
そうすると、馬の守護神が出てきました。蒼前様(そうぜんさま)です。
岩手県の伝統行事で「チャグチャグ馬っこ」というものがありました。岩手県は南部馬の産地で、馬は農耕とは切っても切れない重要な存在でした。
チャグチャグ馬っことは、年に一度、大事な馬を守ってもらうために、馬の神様に祈願するお祭りです。その神様が蒼前様です。
蒼前様は主に東北から北関東地方で祀られており、蒼前とは「葦毛の白馬」のことです。葦毛馬は年を重ねる毎に白くなり、8歳で白馬になると霊威が生じると考えられたようです。

日本の神様の出自を調べると、古事記や日本書紀に出てくる神、出てこないその地域独特の神、元人間が何らかの理由で死後神として祀られる。などに分類できます。
しかし、蒼前様の場合は違っていました。
古来より、馬は神聖な神様の乗り物であり、その中でも白馬は霊獣という意味もありました。また、農耕や運搬には欠かせない存在であり、家族同然の存在でもありました。
故に、人と密接な関係にあった馬、霊獣という意味もある馬は、死後蒼前様として祀られたそうです。馬を守る神とは、人が大切に育てた馬だったのです。
調べている内、興味深い記述が出てきました。それは地域によっては、津島神社の神人(神社で仕える人)が蒼前様の御札を配り歩いていたというものです。津島神社と言えばあの荒ぶる神、牛頭天王様の神社です。馬の神と牛頭天王様が習合したのか、それとも神の馬とは牛頭天王様の御眷属であるという意味があるのか。いずれにせよ牛頭天王様はやはり昔は庶民の神様だったというのが良く分かるエピソードです。
飼っていた馬を死後神として祀る。それは馬が当時の人々にとって大切な存在だったということ。あるいは、馬を酷使して死んでしまったので、申し訳ないという後ろめたさ、もしくは馬が祟ったら怖いと思っていたのかもしれません。

そんな馬の柄を浴衣にしたのがこちらです。絞りなので当然柄が白く出ます。白い馬は神馬なので絞りにピッタリです。柄の出自は特定は出来ませんが辿るとやはり関東より北なのかなと思いました。
昔からある柄、文様はやはり何か意味がありますね。勉強になりました。
参考文献 新紀元社 日本の神々 多彩な民族神たち 戸部民夫著
紅葉屋呉服店はこちらまで

有松絞りですが、今では馬の柄というのは少ないと思います。

着物の古典柄というのは、何かしらの意味があります。
馬を身に纏う浴衣の柄にあしらったのは、馬が日本人にとって馴染み深い動物だからでしょう。伊勢神宮とか多度大社に行くと神馬がいますので、神様の使いとか乗り物という意味がありそうです。
気になったので調べてみました。
そうすると、馬の守護神が出てきました。蒼前様(そうぜんさま)です。
岩手県の伝統行事で「チャグチャグ馬っこ」というものがありました。岩手県は南部馬の産地で、馬は農耕とは切っても切れない重要な存在でした。
チャグチャグ馬っことは、年に一度、大事な馬を守ってもらうために、馬の神様に祈願するお祭りです。その神様が蒼前様です。
蒼前様は主に東北から北関東地方で祀られており、蒼前とは「葦毛の白馬」のことです。葦毛馬は年を重ねる毎に白くなり、8歳で白馬になると霊威が生じると考えられたようです。

日本の神様の出自を調べると、古事記や日本書紀に出てくる神、出てこないその地域独特の神、元人間が何らかの理由で死後神として祀られる。などに分類できます。
しかし、蒼前様の場合は違っていました。
古来より、馬は神聖な神様の乗り物であり、その中でも白馬は霊獣という意味もありました。また、農耕や運搬には欠かせない存在であり、家族同然の存在でもありました。
故に、人と密接な関係にあった馬、霊獣という意味もある馬は、死後蒼前様として祀られたそうです。馬を守る神とは、人が大切に育てた馬だったのです。
調べている内、興味深い記述が出てきました。それは地域によっては、津島神社の神人(神社で仕える人)が蒼前様の御札を配り歩いていたというものです。津島神社と言えばあの荒ぶる神、牛頭天王様の神社です。馬の神と牛頭天王様が習合したのか、それとも神の馬とは牛頭天王様の御眷属であるという意味があるのか。いずれにせよ牛頭天王様はやはり昔は庶民の神様だったというのが良く分かるエピソードです。
飼っていた馬を死後神として祀る。それは馬が当時の人々にとって大切な存在だったということ。あるいは、馬を酷使して死んでしまったので、申し訳ないという後ろめたさ、もしくは馬が祟ったら怖いと思っていたのかもしれません。

そんな馬の柄を浴衣にしたのがこちらです。絞りなので当然柄が白く出ます。白い馬は神馬なので絞りにピッタリです。柄の出自は特定は出来ませんが辿るとやはり関東より北なのかなと思いました。
昔からある柄、文様はやはり何か意味がありますね。勉強になりました。
参考文献 新紀元社 日本の神々 多彩な民族神たち 戸部民夫著
紅葉屋呉服店はこちらまで
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2019-06-01
◆若宮屏風
2019年、令和元年に新たに数量限定で販売することになりました商品(?)について紹介します。
それは「若宮屏風」と呼ばれるものです。
若宮とは子供の神様のことです。若宮と名の関する神社もございますが、この若宮という言葉が東北の方へ行くと座敷童と呼び方が変わります。

用いるのはこの布。今はもう入手困難ですが、風呂敷として販売されたものをたまたま見つけ、「これは!」ということでいくつか購入しました。
当店では風呂敷として販売するのではなく、若宮屏風として加工し販売する運びとなりました。
画像は粗いですが、実物は大変美しく力のある柄です。
118センチ×118センチの大き目のサイズです。メーカー側は知ってか知らずか分かりませんが、おそらく金沢の嫁入り暖簾の柄がモチーフになっていると思いますが、この柄の珍しいのは宝尽文に子供の画が施されていることです。
通常、宝尽文に子供の柄はありません。調べてみたら、この文様は若宮宝尽文様だと分かりました。
若宮とは子供の神様のことです。若宮社という社名の神社は割とあちこちにありますが、この若宮という名前の神様が東北地方に行くと「座敷童」という呼び名に変わります。
座敷童は家に住み込むようになると、何百年も家が繁栄すると云われます。代表的な福の神と言えます。

文様の解説をここで少し・・・。
①分銅 … 秤の基準
②宝珠 … 如意宝珠 知恵を授かる 願ったものを授かる
③丁子 … 香料、薬の原料(希少価値)
④隠傘 … 天狗の隠れ傘 身を守る
⑤生珠 … 生命力の回復
⑥花輪違 … 金運を司る
⑦弁天財布… 使っても減らない財布
⑧巻物 … 知恵を授かる
⑨死反珠 … 生珠と対の勾玉
⑩小槌 … 大黒天の御神器 打出の小槌
⑪隠蓑 … 天狗の隠れ蓑 身を守る 姿が消える
子供 … 若宮 子供の神様 お家を繁栄させる座敷童
となります。この超縁起の良いおめでた文様を屏風に表装します。
屏風は屏風でも、水屋屏風のサイズで作成します。茶道で使える大きさです。
通常の屏風が高さ173センチほど。水屋屏風が128センチほどです。

この画像が水屋屏風です。通常の屏風ですと高さは鴨居の辺りまであります。
因みに画像の鳳凰の絵は藍染の筒描と呼ばれる物です。もとは布団の皮です。普通は布などを屏風に貼る時はこのように真ん中にあしらいますが、若宮屏風ではこのような貼り方をしません。
特殊な表装をするのです。
完成した写真を紹介したいところですが、どうしても実物の迫力は出なかったので断念しました。
また、断念したのにはもう一つ理由があります。
若宮屏風を「物」としてではなく、福の神の「依り代」として使う場合はルールがあるからです。こういった不特定多数の人が見れる場所では公開を控えよと聞いております。
その昔、金沢では若宮屏風と言うものがあり、それを知っている人は嫁入りする自分の娘に持たせたそうです。
嫁入りに持たせる意味、それは・・・
「私の娘は福の神を連れています。あなたの家をいつまでも繁栄させるでしょう」
と云うものです。
紅葉屋では嘗てあった若宮屏風を限定ですが復元制作販売しております。(貼る布が在庫分しかなく、現在入手困難)
お部屋のインテリアにもなる若宮屏風、広げるとお部屋がぱっと明るく景気良くなります。
物として扱う方が多いと思いますが、もう一つの本来の使い方をご希望の方には、口頭にてアドバイスさせて頂きます。
若宮屏風の紹介でした。
※紅葉屋呉服店はこちらまで
それは「若宮屏風」と呼ばれるものです。
若宮とは子供の神様のことです。若宮と名の関する神社もございますが、この若宮という言葉が東北の方へ行くと座敷童と呼び方が変わります。

用いるのはこの布。今はもう入手困難ですが、風呂敷として販売されたものをたまたま見つけ、「これは!」ということでいくつか購入しました。
当店では風呂敷として販売するのではなく、若宮屏風として加工し販売する運びとなりました。
画像は粗いですが、実物は大変美しく力のある柄です。
118センチ×118センチの大き目のサイズです。メーカー側は知ってか知らずか分かりませんが、おそらく金沢の嫁入り暖簾の柄がモチーフになっていると思いますが、この柄の珍しいのは宝尽文に子供の画が施されていることです。
通常、宝尽文に子供の柄はありません。調べてみたら、この文様は若宮宝尽文様だと分かりました。
若宮とは子供の神様のことです。若宮社という社名の神社は割とあちこちにありますが、この若宮という名前の神様が東北地方に行くと「座敷童」という呼び名に変わります。
座敷童は家に住み込むようになると、何百年も家が繁栄すると云われます。代表的な福の神と言えます。

文様の解説をここで少し・・・。
①分銅 … 秤の基準
②宝珠 … 如意宝珠 知恵を授かる 願ったものを授かる
③丁子 … 香料、薬の原料(希少価値)
④隠傘 … 天狗の隠れ傘 身を守る
⑤生珠 … 生命力の回復
⑥花輪違 … 金運を司る
⑦弁天財布… 使っても減らない財布
⑧巻物 … 知恵を授かる
⑨死反珠 … 生珠と対の勾玉
⑩小槌 … 大黒天の御神器 打出の小槌
⑪隠蓑 … 天狗の隠れ蓑 身を守る 姿が消える
子供 … 若宮 子供の神様 お家を繁栄させる座敷童
となります。この超縁起の良いおめでた文様を屏風に表装します。
屏風は屏風でも、水屋屏風のサイズで作成します。茶道で使える大きさです。
通常の屏風が高さ173センチほど。水屋屏風が128センチほどです。

この画像が水屋屏風です。通常の屏風ですと高さは鴨居の辺りまであります。
因みに画像の鳳凰の絵は藍染の筒描と呼ばれる物です。もとは布団の皮です。普通は布などを屏風に貼る時はこのように真ん中にあしらいますが、若宮屏風ではこのような貼り方をしません。
特殊な表装をするのです。
完成した写真を紹介したいところですが、どうしても実物の迫力は出なかったので断念しました。
また、断念したのにはもう一つ理由があります。
若宮屏風を「物」としてではなく、福の神の「依り代」として使う場合はルールがあるからです。こういった不特定多数の人が見れる場所では公開を控えよと聞いております。
その昔、金沢では若宮屏風と言うものがあり、それを知っている人は嫁入りする自分の娘に持たせたそうです。
嫁入りに持たせる意味、それは・・・
「私の娘は福の神を連れています。あなたの家をいつまでも繁栄させるでしょう」
と云うものです。
紅葉屋では嘗てあった若宮屏風を限定ですが復元制作販売しております。(貼る布が在庫分しかなく、現在入手困難)
お部屋のインテリアにもなる若宮屏風、広げるとお部屋がぱっと明るく景気良くなります。
物として扱う方が多いと思いますが、もう一つの本来の使い方をご希望の方には、口頭にてアドバイスさせて頂きます。
若宮屏風の紹介でした。
※紅葉屋呉服店はこちらまで
2013-06-05
着物の破れ直せます。
2012-11-15
藍染 絵絣
昔、どうしても面白い絵絣の着物がないかと、当店で図案を興し重要無形文化財保持者の方と
タッグを組んでオリジナル絵絣を作成販売したことがありました。
元は江戸末~明治頃にあった木綿の着物で、染めは本藍染です。
この柄は江戸末期の柄を、絵の部分だけを大きく引き延ばし現代に復活させました。

今では入手困難で、当店でも在庫が数本あるだけで販売したらそれで終わりです。
着物にしても良し、アイデア次第では暖簾や茶具式にも応用できると思います。
今同じ物を作ろうとすると、とんでもなく高い物になります。
当店では在庫に限り、作成当時の値段で販売中です。
※写真は以前お客様に販売し、最近仕立て承ったものです。
鶴亀のこの柄は完売しております。
紅葉屋
タッグを組んでオリジナル絵絣を作成販売したことがありました。
元は江戸末~明治頃にあった木綿の着物で、染めは本藍染です。
この柄は江戸末期の柄を、絵の部分だけを大きく引き延ばし現代に復活させました。

今では入手困難で、当店でも在庫が数本あるだけで販売したらそれで終わりです。
着物にしても良し、アイデア次第では暖簾や茶具式にも応用できると思います。
今同じ物を作ろうとすると、とんでもなく高い物になります。
当店では在庫に限り、作成当時の値段で販売中です。
※写真は以前お客様に販売し、最近仕立て承ったものです。
鶴亀のこの柄は完売しております。
紅葉屋
2012-09-06
裄直し
愛知県のO様の結城紬の御着物、裄直しを賜りました。

画像では分かりにくいですが素敵な御着物です。
着物の良い点の一つとして寸法を直せば着れるというものがあります。
大事に着て頂けるのは嬉しいものです。
当店では他店さまでご購入された御着物でも仕立て直しや染め替え、
シミ抜きなど承っております。お見積りも出します。
紅葉屋

画像では分かりにくいですが素敵な御着物です。
着物の良い点の一つとして寸法を直せば着れるというものがあります。
大事に着て頂けるのは嬉しいものです。
当店では他店さまでご購入された御着物でも仕立て直しや染め替え、
シミ抜きなど承っております。お見積りも出します。
紅葉屋
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